内容紹介
世界トップクラスの金融機関の外国為替最前線でディーラーを30年続けたプロ中のプロが教える“素人が絶対知っておきたい為替相場のおそろしい現実"。プロでも七転八倒する外為市場で素人がFX参入してもたったの1%しか勝ち続けられない本当の理由。プロは圧倒的な情報量の元戦う体制が整ってるのに対して、素人がFXをやるに際しては戦う体制すら整っていないのだから負けて地獄を見るのは当然。それでも痛い目に遭いたくない人にこっそり教える、プロの情報の取り方・分析法、真っ当な相場予想が個人投資家に届かない理由、テクニカル分析をプロが使わない理由、ヘッジファンドに関する情報の99%はウソの理由、外為市場のプロの常識・非常識などなど、ヘッジファンドも経営したことのある、“中にいた人しか知らない"為替の専門家たちの秘密とものすごい仕事術のすべてを公開!
著者について私が好きな山崎元氏の推薦図書にもなっています。
富田公彦(とみた・きみひこ)
1957年宮崎県生まれ。元JPモルガン・チェース銀行為替資金本部副本部長。
東京大学経済学部経済学科卒業後、株式会社富士銀行入行。 1982年同行国際資金証券部資金為替課配属。以後31年間にわたり金融市場(主として外国為替市場)のフロント業務に従事。JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ステート・ストリートなど米系金融機関の市場部門に通算25年以上勤務。取締役副社長としてケイマン籍のヘッジファンドを経営。2013年金融市場より引退。現在、参議院議員、中西健治事務所の政策スタッフを務める。
「第256回 推薦図書「なぜ専門家の為替予想は外れるのか」(富田公彦著、ぱる出版)」
期待が高かったのですが、結構面白かったです。
結論から言えば、プロでも難しいというか当たらないし、そもそも為替予想が不可能な為替相場にたいして素人が挑戦するのはやめなさいという内容です。
語り口も面白くユーモアもあるので、読んでいて飽きません。
(人によっては少し慇懃無礼で嫌味な語り口を感じるかもしれませんが、書かれている内容はまっとうで参考になります。
為替予想があたらないバックグラウンドや理論が判りやすい語り口で解説されています、また書き方は判りやすいが内容や理論は高度だと思います。
語り口が判りやすく、ユーモアのある話がちょこちょこと挿入されているので、読み物としても十分に楽しめます。
ただ、全体の流れとしては為替予想があたらない理由を説明しているので、そもそも為替予想が当たらない、予想できないということが理解している人は少し食傷気味になるかもしれません。(そもそも為替予想が当たらないなんて理解してるんだから、何度も同じことを言うなよ!と感じるかも。)
為替関連の本として、個人的に結構お勧めです。
「高金利通貨はインフレ通貨なので長期的には下落し、低金利通貨はデフレ通貨なので長期的に上昇する。ただ、理論的と現実はことなり、短期的には逆の動きをする場合が多い」との記載がある点はとても参考になりました。
このあたりの記載が逆に書かれていたり、はっきりと書かれていない本は著者のレベルが低いので信用しない方が良いでしょう。
「外国為替は資産ではない。単なる通貨の交換比率」
との記載もその通りですね、株式や債権と一番の違いです。資産は理論的にはリターンを得られることになっていますが、交換比率はべつにリターンを産みません。
ちなみに、私自身は、為替予想ができるとは思っていませんし、為替予想をもとにポジションはとっていません。そもそも為替相場はゼロサムゲームで、買い手の反対には売り手がいて、どちらかが損をするゲームだと思っています。