2013年3月16日土曜日

株式オプション市場から見た投資家心理・見通し スマイル(Smile)とスキュー(Skew)の関係

株式オプション市場から見た投資家心理・見通し」というレポートを紹介します。

2009年11月のレポートなので内容は古いですが、オプション用語の勉強になります。


内容としては、
日米の株式オプション市場を分析したところ、投資家心理は落ち着きを取り戻しているが、直近の見通しは必ずしも強気ではないとのことです。

日本は日経平均(NKY)、米国は SP500 (SPX)を原資産とする上場ヨーロピアン・オプションを用いて、日米のインプライド・ボラティリティ (行使価格がアット・ザ・マネー近辺のオプションで算出) の推移を示した。

やはり、株価が下落する局面では、Implied Volatilityが急上昇しています、判りやすい図ですね。


インプライド・ボラティリティは、
「株式オプション市場が織り込んでいる株価変動予想」=「投資家心理の反映」となります。

また、ボラティリティ・サーフェース(Volatility Surface)は、
取引されているすべてのオプションのインプライド・ボラティリティを計算して、その形状を描いた図になります。


市場データで計算したインプライド・ボラティリティは一定とならず、「スマイル(Smile)」や「歪みのスキュー(Skew)」が観測されます。(形状が人の笑った口元に似ていることからスマイル(Smile)と呼ばれる。)(図表 2)




スマイル(Smile)は、
同一の期間では、行使価格/原資産価格 (Moneyness)が100%の時にインプライド・ボラティリティは低く、両端で高い場合に観測されます。
頻繁におこる現象です。

スキュー(Skew)は、
行使価格/原資産価格 (Moneyness)が低いほどインプライド・ボラティリティが高い場合に観測されます。
投資家が強気見通しの時にしばしば起こります。

投資家の見通しがボラティリティ・サーフェースの形状に現われていることから、ボラティリティ・スキューの時系列推移を観測した。
期間が 1 ヶ月、Moneyness が 110%と 100%のインプライド・ボラティリティの差(110%-100% IV)と同じく 90%と 100%の差(90%-100% IV)の 20 日移動平均の推移を調べた(図表 3)。
通常 90%-100% IV は正の値をとり、110%-100% IV が正の時にスマイル、110%-100% IV が負の時にスキューが観測される。
市場参加者が少ない日本では、2008 年 10 月の大幅下落時に市場混乱に伴い、正常に値付けできなかった時期を除いて概ねスキューが観測できる。米国では 2009 年 6 月や 8 月にスマイルが観測でき、投資家の強気見通しが伺える。このようなオプション市場の投資家見通しから、2009 年 9 月末現在の日米における株価推移(日本は上値が重く、米国は高値更新が続く)を説明できよう。なお、米国では直近スキューに変化しており、投資家が弱気見通しに変化しつつあるのかもしれない。


相場を予想することはできませんが、
オプションの売りの場合、オプションプレミアムはインプライドボラティリティーと非常に強い関連があります。
スマイル(Smile)とスキュー(Skew)の関係について覚えておいても損はないでしょう。



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