2021年6月16日水曜日

少数銘柄を長期バイアンドホールドで高リターンのヘッジファンド アンディー・ブラウン氏が率いるシダー・ロック

 


少数銘柄を長期バイアンドホールドで高リターンのヘッジファンド アンディー・ブラウン氏が率いるシダー・ロック



少数の株を長期保有して高リターンを上げているヘッジファンドです。

個人的に大好きで、13Fは必ず確認しています。

アンディー・ブラウン氏(Andy Brown)が率いるシダー・ロックはあまり有名ではないかもしれませんが個人投資家には参考になる運用だと思います。(最近の短期売買が多くグロース株にも投資しているウォーレン・バフェット氏よりも個人の銘柄選択には参考になる点があるかと思います。

アンディー・ブラウン氏(Andy Brown)と運用戦略については以下の記事が参考になるかと思います。何点か抜粋します。

2009.11. 2の記事になります。

[会社情報]
・モルガンスタンレーのグローバルフランチャイズ運用を立ち上げたAndy Brown氏が設立。同氏は同運用戦略を96年2月から02年4月まで担当した。90年代はベンチマークとの乖離を気にする投資家が多く、同戦略の資産残高は伸び悩んだが、99-00年のITバブル崩壊時に好調な運用成績を継続したためモルガンスタンレー内で一躍脚光を浴び、資産残高が急増した。残高急増に伴って運用以外で費やさなければならない時間が増えたため、運用に専念できる環境を求めて独立した。

・戦略はモルガンスタンレー時代と同じで、メンバーも皆、同社で一緒に働いていた。シダーロックでは職員は自らの自己資金をファンドに投資している。

[世界株式戦略情報]
・長期的に安定したリターンを獲得できる20-25銘柄に3-5年の期間バイアンドホールドで投資する。資産保全を最優先する運用スタイルで、株式相場下落時においても長期に安定的なリターンを提供することが、結局は投資家の資産を増やすという信念に基づく。

・成長は緩やかであるが、資本効率がよく安定的なフリー・キャッシュ・フロー(以下FCF)を生み出すことができる銘柄に投資する。また技術進歩により経営環境の変化が生じうる分野の企業には投資しない。銘柄選択としては、①収益の反復性、②特に途上国市場への成長機会・経営陣、③ブランド力、④テクノロジーリスクの回避という4つのキーワードにまとめられる。

・投資する銘柄のFCFは、高格付社債の利回りより高いことが前提である。3%程度が配当で5-6%が企業業績の成長から獲得できる8-9%程度のFCFが投資のターゲットである。高品質でかつ割安な銘柄はそれほど多くなく、世界中で2-300の銘柄を常時見ている。MSCIのような市場インデックスに含まれる銘柄のほとんどは、当運用戦略の投資対象にはならない銘柄である。したがってベンチマーク自体を気にしていない。

・当戦略の保有銘柄は英米並びに一部の欧州上場銘柄が大部分を占める。その理由は、一般的に投資に値する企業は所有者が手放さず、株式投資の文化がある国でなければ、価値ある銘柄が市場に出てきにくいからである。保有銘柄の上場市場は英米中心ではあるが、生活必需品として世界中で消費されている企業を中心に保有しているため、ポートフォリオを企業収益の獲得地別でみると世界のGDP比に近くなる。このようにして、欧米株式中心の投資であっても、人口が増加し成長しているエマージング市場やアジアを運用戦略の中に取り込むことができる。

・通貨はヘッジしない。ヘッジはコストがかかるし、見通しを間違うことも多いからだ。また世界各国の市場で消費財を扱っている企業に投資しているため、通貨の変動は吸収されて打ち消し合っていると考えている。

・集中投資のため持ち株割合が高まることもあり、稼いだキャッシュフローの使い道については、経営層と議論することがある。せっかく安定的なビジネスを行っているのに、キャッシュが貯まると不要でコスト高の企業買収に乗り出そうとすることもあるからだ。

[Q&A]
Q1:通貨をヘッジしないということだが、保有銘柄の企業内で為替ヘッジをしているため必要ないということでもあるのか。
A1:全世界に事業展開している企業は大きな現地部門を持つため、現地で収益を上げるが同時に費用も現地で払っている。またヘッジにはコストもかかるため、為替ヘッジは子会社から親会社への資金送金分程度である企業が多い。

Q2:これまで日本企業に投資したことはあるのか。またどんな企業か。
A2:96年にフィルム会社を、97年には消費財企業を購入したが、いずれも早く売却する結果となった。余裕資金の使い道が気に入らなかったからだ。日本は高齢化で消費増が期待され注目すべきところ、日本企業はキャシュを溜め込む傾向が強く、また人口減でもありそれほど魅力ある市場とはいえない。

Q3:成長著しいインドや中国の企業には投資しないのか。
A3:インドや中国で現地子会社等により収益を獲得している世界的企業に投資をすれば、十分にそれら地域の成長を取り込める。エマージングで投資している銘柄は現在メキシコの1社のみで、それも先進国企業の現地子会社である。

Q4:環境分野やエネルギー分野等はこれから相当な期待がもてるのではないか。
A4:それらの分野は資本集約的でグロース型運用向きであり、また技術変革による収益変動もあるため、成長は緩やかで安定的なFCFの獲得を目指す運用戦略からは、好んで投資する銘柄ではない。

Q5:昨年のような相場状況の場合に、現金を増やす等の行動を取ることはあるのか。
A5:マーケットタイミングを取りにいくマネジャではない。基本的にフルインベストメントである。昨年の相場下落時にはバリューからみて割安と判断し、逆に優良企業を買い増しした。


イギリスでは有名なファンドマネージャーなようで、8.1億ポンドの資産があるようです。2002年にシーダ―ロックキャピタルを設立。割安株に集中投資し、長期間保有するというウォーレン・バフェット氏に近い手法をとっており、ブラウン氏が第二のバフェットになれるか注目されているようです。


ファンドの概要と評価

ファンドの評価は満点の五つ星。

リターンもS&P500に圧勝しています。

ポートフォリオと保有銘柄




少数の銘柄に集中投資をしています。現在の8銘柄の保有になります。そういえば、広瀬氏もとんがったリターンを出したいなら7銘柄がいいと言っていました。しっかりと銘柄分析ができるのであれば8銘柄というのも妥当だと思います。(20銘柄以上保有してもあまり意味はないですし。)個人的には15銘柄位が個人投資家にはちょうどいいと思います。

  1. Procter & Gamble(PG)
  2. Philip Morris(PM)
  3. Starbucks(SBUX)
  4. Zebra Tech(ZBRA)
  5. Automatic Data Processing(ADP)
  6. Clorox(CLX)
  7. Keurig Dr Pepper(KDP)
  8. Expeditors International(EXPD)
なじみのある会社が多いですね。成長は緩やかだとしても、資本効率がよく安定的なフリー・キャッシュ・フロー(以下FCF)を上げている銘柄が多いです。また、技術進歩により経営環境が大きく変化しない企業を選んでいます。運用方針の以下の点が抑えられていますね。
  1. 収益の反復性
  2. 特に途上国市場への成長機会・経営陣
  3. ブランド力
  4. テクノロジーリスクの回避
という4つのキーワードに沿っています。私も運用期間が短くなったらこういったテクノロジーリスクを回避できる銘柄に変更しようと思っています。

それにしても、ハイテク銘柄でなくて、ローテクでベーシックな銘柄に集中投資をしてこれだけのリターンがあげられるというのは凄いです。

直近の売買

2021年3月31日時点の情報ですが、新規購入はなし、多少の株を売っています。ほとんど売買をしないでバイアンドホールドを実践しています。

過去の売買の履歴


Automatic DataProcessing

2016年からコンスタントに投資をしています、ポジションも10%と大きめなので自信がある投資先なのだと思います。 

Cigna

2018年から投資を開始しています、ポジションは少ないですね。

Clorox

2016年からコンスタントに投資をしています、ポジションも7%と大きめです。

DR Pepper Snapple

今は投資していません、買収されたとかだった気がします。

Expeditors International Of Washington

2020年から投資を開始しています、新規のポジションなので参考にしてもいいかもしれません、2020年時点のバリュエーションを確認して現時点でも投資旨味があるか調査してみたい銘柄です。

Express Scripts

現時点で投資していないと思います。

Keurig Dr Pepper

このポジションは買収とかだった気がします。細かくは調べていません。

Philip Morris International

2016年からコンスタントに投資をしています、ポジションも17%と大きいので主力の銘柄だと思います。タバコ銘柄に大きく投資をするというのは結構勇気がいると思います。

Procter & Gamble

2016年からコンスタントに投資をしています、ポジションも26%と最大となっており主力の銘柄ですね。ベーシックで理解しやすい投資先だと思います。

Starbucks

2018年より投資を開始しています、ポジションも13%と比較的大きいので主力の銘柄でしょう。こちらもブランド力がありテクノロジーリスクを回避できる比較的理解しやすい投資先だと思います。

Zebra Technologies

2020年より投資を開始しています、ポジションも13%と比較的大きいのですが、私の勉強不足でどのようなポジションなのかはわかりません。
業種はマーキング、追跡、およびコンピューター印刷技術を製造および販売しているそうです、ロジスティクスや倉庫の自動化に関するポジションなのかもしれません。

まとめ

私の勉強不足でいまいち不明なポジションもありますが、基本的には「収益の反復性」「特に途上国市場への成長機会・経営陣」「ブランド力」「テクノロジーリスクの回避」に着目し、割安な銘柄を長期にバイアンドホールドするという戦略になります。
リターンも伴っていますし、売買の頻度も少ないので個人投資家が参考にする点はたくさんあると思っています。
個人投資家に人気があるIT系のハイパーグロース株を買うよりもアンディー・ブラウン氏が率いるシダー・ロックのポジションも勉強してまねた方がリスクは少ないと思います。


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